
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第19章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 再会
「はい、この前にお祖父さまにお逢いした時、私と一緒にいた男性です」
素直に頷くと、イルチェは思慮深げに考え込んだ。
「あの青年は良い瞳をしていた。個人的には、好感の持てる男だ」
イルチェは呟き、キョンシルを再び見つめた。その細い眼には心なしか力と光が戻っている。かつて王の側近中の側近といわれ、〝天下に崔イルチェあり〟とまで呼ばれた朝廷の重臣であった。往時を偲ばせる鋭い眼光が束の間、甦ったようである。
「キョンシル、そなたが望むのであれば、何なりと叶えてやりたい。あの若者と結婚したいというのなら、それでも構わぬと言いたいが、崔氏の嫡流たるそなたの良人となるのは、氏素性正しき男であることが必要だ」
素直に頷くと、イルチェは思慮深げに考え込んだ。
「あの青年は良い瞳をしていた。個人的には、好感の持てる男だ」
イルチェは呟き、キョンシルを再び見つめた。その細い眼には心なしか力と光が戻っている。かつて王の側近中の側近といわれ、〝天下に崔イルチェあり〟とまで呼ばれた朝廷の重臣であった。往時を偲ばせる鋭い眼光が束の間、甦ったようである。
「キョンシル、そなたが望むのであれば、何なりと叶えてやりたい。あの若者と結婚したいというのなら、それでも構わぬと言いたいが、崔氏の嫡流たるそなたの良人となるのは、氏素性正しき男であることが必要だ」
