彼と心と体と。
第14章 無心
心なんて、とっくに壊れてると思う。
拓海が教えてくれたことはあたしの心を壊していった。
まだ拓海のそばにいることに理由など、意味など、あるのだろうか。
誰が何と言おうと、あたしは拓海を嫌いになれない。
誰が何と言おうと、あたしにとっては恋愛だった。
長い月日がそうさせた。
好きじゃなくなっても、嫌いにはなれない。
拓海の弱さも欠点も受け入れてしまうようになっていた。
お互い否定も拒否もしない。
その代わり、愛もない。
心地良い距離感を保ったまま、もうすぐ2年が経とうとしていた。