テキストサイズ

彼と心と体と。

第16章 寄り道


久しぶりの拓海の部屋。
この空間は拓海の匂いしかしない。
時々わざと香水をつけて行ってたけど、もう面倒になってきた。
あたしはぼんやりと考えているこの時間も、拓海は気にせずあたしに触れている。



「ぬれすぎ」



拓海は冷たく、独り言のように言った。
ちらっとあたしの顔を見てすぐに視線をそらした。




「言わないでよ」



恥じてるんじゃない。
可愛いこと言う必要も意味もない。
それを求められてるわけでもない。


拓海は黙って濡れた手を見ていた。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ