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彼と心と体と。

第19章 手


手袋をしたって寒い。
冷気が刺さるように感じる。


拓海と手を繋いで歩いたのを懐かしく思った。

寒いくせに、手袋もしないで手を繋いで笑っていた。
拓海の手は大きくて温かくて、寒くなかった。



抱きしめられて、顔を胸にうずめた。
拓海は少し腕の力を強めた。
優しい力であたしを包んだ。





あの頃は、こんな風にいつまでも続くんだと信じていた。


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