禁断の果実 ―Forbidden fruits―
第7章 第7章
目を覚ますとヴィヴィはベッドの中にいた。
「……………」
首元まで上掛けが掛けられ、寒さは少しはマシになっている。だが、やはり寒気がする。喉もひりひりと痛い。
のどの渇きを覚えて上掛けを捲って上半身を起こそうとした時、すぐ隣で物音がした。
「ああ、気が付きましたか。どうしました?」
傍にいたのは朝比奈だった。ヴィヴィはほっとして指でベッドサイドに置かれていた水差しを指す。
「喉が渇いたんですね? 待ってください」
朝比奈はそう言って水を用意すると、ヴィヴィの上半身を支えて口に含ませた。ひんやりした水分が熱い喉を通り気持ちいい。もっと飲みたかったが「お腹が冷えるからもう駄目です」と言われ諦めた。
ベッドの中に横たえられ、ヴィヴィは「今、何時?」と掠れた声で問う。
「夜の十二時ですよ。もう半日程寝てられましたね。何かお腹に入れられますか? 高熱が出ているので解熱剤を飲ませたいのですが」
大きな掌でヴィヴィの金髪が垂れたおでこに触れられる。冷たくて気持ちいい。食欲はなく、首を小さく振って意思表示する。それだけで激痛が走り、ヴィヴィは顔を顰(しか)めた。
「果物はどうですか? 桃と苺とメロンを擦ってお持ちしましょうか」
それだったら喉を通るかもと、今度は大きく瞬きをして意思表示をした。朝比奈がふっと笑って準備をする為に席を立った。寝室の出口の辺りでぼそぼそと声が聞こえる。
(十二時だから、クリスが練習から帰ってきたのかな?)
ぼんやりとそう考えていると、絨毯張りの寝室の床を擦るような足音が聞こえそれが近づいてくる。クリスに風邪をうつしたら大変と思いその音がするほうにゆっくり顔を向けると、入ってきたのは匠海だった。
「起きた? 大丈夫かヴィヴィ」
囁くような小さな声で労わる様に掛けられた声に、ヴィヴィはぱちくりとする。匠海を目にした途端、頭がぼうとして返事を返したいのに何を言っていいのか分からない。
「さっきクリスが帰ってヴィヴィに会いたがってたけれど、うつったらまずいから部屋に入れないからね」
ヴィヴィの傍に置かれたスツールに腰を下ろした匠海はそう言うと、妹を見て苦笑する。
「長湯して風邪ひいちゃったんだって? 困った子だ」
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