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適当詩

第6章 6

「忘春の」

毎日が過ぎていく

速度に追い付けなくて

もう

寸前も思い出さない


仕方がないから

川に

葉っぱを流してみる


ゆらゆら

揺れて

ゆらゆら

揺れて

流れて

消えた


昨日という日は

本当に

あったのだろうか

今、ここに在る自分は

昨日からの自分だろうか



哲学的に

自問する


そんな

思考も

流れて

消えた


川に

流れた

葉っぱ



渦に巻かれて

川底の

蟹が

鋏で

ちょんぎった


汽笛なる

春の

霞みに

くしゃみして

畦道ゆけば

あおがえる


蟹の葉笛が聞こえるかい



終わり。

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