テキストサイズ

適当詩

第6章 6

「雨の画」

もういっとうに洒落た洋服でウィンドウショッピングに勤しむ女は

春の気紛れに面食らい珈琲店に逃げ込んで窓際の席で流れ落ちる水滴を見る

つぃーと垂れる水滴に

上等な革の手提げから取り出した細い煙草に火を点けて

ふぃーと煙を吹き付ける

そういうあんたに奪われた目をレジスターの店員がまるで女房のようにがちゃんと音を立てて気付かせる

はて

さて

傘はねえ

俺はどこに向かおうか



終わり。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ