テキストサイズ

赤い印

第9章 天文部×3 動く

ガラッ

教室のドアを開けると、
皆一斉に口を閉ざした。
そしてひそひそと話し始める。

私は自分の席に向かい、
机の中の教科書類を適当に鞄に押し入れ、教室を出た。

「杏樹?」
呼ばれて体が硬直する。

「那貴…」
私は曖昧な笑みを浮かべた。

「何?帰るの?体調不良?
 と言うか、制服は?」
「…。」
何一つ答えられず、私は黙って首を横に振った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ