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人生憑依。

第1章 抱く心情




―キーンコーンカーンコーン…

授業の終わりを
知らせるチャイムが耳に貫いていく。

やっと4限目が終わった
と、俺はため息をついた。
ひさしぶりに授業に出ると
体力を使う。

美術室にて絵を仕上げようかと思った時
目の前に女子が現れた。



「……?」



見上げると、
そこには学年1の可愛い子と目が合った。
彼女は、
少し戸惑う仕草を見せてから口を開く。



「お、お弁当…食べて…」

「…ん?」



彼女の声が聞き取れず、
もう一度、と人差し指をたてる。
ジェスチャーの意味を理解した彼女は
顔を赤くして
バンっと背中に隠していたらしきものを机に叩きつけた。



「ひ…っ」



その音に教室にいた全員が
俺ら二人に視線を向ける。
そして俺もびっくりして思わず声を出してしまう。



「お、おおおお弁当!食べてください…っ」

「……」



またため息をついて、
今度こそ席を立つ。



「俺、そういうのいらないから大丈夫」



そう言って教室を出た。
他の女子や男子の罵声が耳につんざいたのは
今に言うことじゃない。



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