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人生憑依。

第3章 最低思考




「―…俺、帰るわ」



俺はふらりと立ち上がると、
二宮の横を通り過ぎる。

長話のせいでオレンジ色だった空は
真っ暗な空に変わって
小さなスポットライトが幾つも、照らしてる。



「お前、どうせ会長と帰るんだろ」



そう言うと二宮は
ゴシゴシと目を擦りながら頷く。

羨ましいとか、
思わない。思いたくない。
ひがむなんて、なさけなさすぎだろう。



「じゃ、また明日」

「ま、また明日って…っ」

「うん、明日も会おうね。此処で」



ふふっ、と笑ってやると
二宮は明らかに眉をひそめた。
刹那、俯いた二宮。



「…会うってことは、…その、憑依、するんですよね…?」

「当たり前じゃん」



さっき言ったよね?なんて
足して、またバカにしたように笑う。

すると、二宮は
小さく縮こまって
小さく笑う。



「また、翔さんと盛り上がるつもりでしょ」



はは…っなんて笑う二宮。

眉をさげて
目覆って

口だけが口角をあげてた。



―二宮は、今

何を考えて、こんな顔してるんだろう。



「う、嘘ついたって、俺にはわかりますからね…?どうせ、俺の身体なんですから」
「…ああ」



俺の心が
きしきしと少しだけ痛んだ。



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