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KISSからはじめよう

第2章 智、ダジダジする

予約した部屋に行くとまだ来ていなかった

「連絡しないと…」

電話をしようとしたとき
「お連れ様が…」と店員が声をかけてきた

「遅れてすみません!!」

頭をペコっと下げておれを見て
隣に座るマネージャーを見て
もう一度おれを見た

「お疲れさま!!おれらも今きたとこ。座って?何飲む?」
「えっ…あ、あのビールを…」

おれは飲めないマネージャーを横目に
ビールを頼んだ

「お疲れさまです。先日はありがとうございました。本日は訳あって同席しています。」
「あ、こちらこそ。いつもお世話になっております。」

仕事モードな会話が続く

「森さん…大野と二人きりでの食事…ですが…今日だけでお願いします」

まだビールも来てないのに
マネージャーから先制パンチ…
おれは慌てていたが、彼女はというと
少しだけキリっとした表情で答える

「佐伯さん…それは今お返事しないといけませんか?」
「え?」
「え?」

おれもマネージャーも面食らった

「大野さんとまた食事がしたいと思ったら、これからも連絡すると思います。つまんなかったわ、と思ったら次はないと思います。今のところこれが私の返事でいいですか?」
「…わかりました…」

マネージャーはおれらを何度か見て
「…大野さん…帰りはタクシーでお願いします…今日は帰ります…」
と言って、部屋を出て行った

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