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KISSからはじめよう

第7章 智、ホンワカする

「忘れ物ない?」
「大丈夫!」

おれたちは小さな声で
にのたちを起こさないように
家を出ていった

深夜の街のタクシーを拾い
ふたりだけの冒険に出る

目深にかぶったキャップが
わざとらしいだろうか…

マンションのドアを開けるまで
何も話さずに
ただただ手を握っていた

鼓動の早さの分だけ
歩く早さも比例しているようだった

鍵をかけると
お互いにはぁーっと大きく息を吐き
顔を見合せ
何とかクリアしたゲームに
笑いだしてしまう

「中、入って」
「オジャマします♪」

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