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KISSからはじめよう

第1章 智、食事に誘う

家に帰ると、鳴らない携帯を握りしめ
ひとりでビールを飲む

絵を描くようなテンションでもなく
おれは見るつもりもないテレビをつける

「かかってこないかなー」
おれのを教えるだけじゃなくて
聞けばよかった…

どんなものが好きなのかな
お酒飲むかな
休みは何してんのかな

釣りに誘ったら…
来てくれるかな…

明日も早いし、そろそろ寝るかなと
ベッドに入ろうとしたとき
携帯がブルっと震えた

表示は見慣れない番号で
おれ自身も震えた

「も、もしもし!?」
「あ、あの…」
「森さん…?」
「え?はい…あの…遅くにすみません…」
「いえ…電話ありがとう」
「もしかして…寝て…ましたか?」
「いや…寝てないよ(笑)森さん、今仕事終わったんですか?」
「いえ…実は…2時間前には家に帰ってきてたんですけど…」
「うん?」
「……電話しようかどうしようか…迷ってたら…こんな時間になって…」

恥ずかしそうに言う彼女に
おれも恥ずかしながら胸がキュンとなった

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