先生が教えて。
第20章 奪い合い
グイッ
「えっ」
裕太は私の腰に手を回して自分の方へ引き寄せた。
「えっ、ちょっ、裕太…?」
「ン?」
何食わぬ顔をして歩く裕太。
私の腰に回ってるのは、やっぱり裕太の手。
距離が近い。
肩がくっついている。
他人から見たら、どっからどう見ても彼氏彼女にしか見えないだろう。
「あっ、あのっ…
手…」
別に裕太にこんな事をされたり、軽いスキンシップは慣れてたし…
でも…
「ん?前はよくこうしてたじゃん」
「そっ、そうだけどっ…」
それは付き合っていた頃の話で…
「たまには、いいだろ?」
私の事を見下ろした裕太の顔は、見惚れてしまうほどの笑顔だったけど…
何処か、悲しそうだった。