先生が教えて。
第31章 新たに
ザー
土砂降りの雨の中、傘もささずに目的の場所へと歩き続ける。
びしょ濡れの私に、道を行きかう人達は刺さる視線を浴びせるが、そんな事はもうどうでもよかった。
帰る場所が無い今、私が頼れる人はあの人だけ。
…
数年ぶりに、あのマンションの家の前についた。
総司が引っ越して、私が詳細を後から確かめに行った以来来て居なかった。
彼は元気にしているだろうか?
もしくはまだ此処に住んでるだろうか?
部屋の前に着き、表札を確かめる。
"神田"
大丈夫、まだ住んでいる。
こんな時間に平気だったかな、迷惑じゃないかな…。
って、どっちにしろ私はこれからこの人に迷惑をかけるのだから。
少しためらってからインターホンを鳴らす。
ピンポーン
数秒経って、ガチャっとドアが開いた。
「!!!
小鳥遊…!」
「久しぶり…、夜遅くにごめんね…」
神田 隆司。
総司の弟だ。