先生が教えて。
第31章 新たに
「お前なにやってんの!?
びしょ濡れじゃん!
早く上がれって!」
隆司に背中を押されて部屋の中への入れられる。
久しぶりだな
よく来ていたな
何もかもがあの時の時間が止まった様で。
でも総司の物は一切なくて、総司の面影は全くない。
また、涙が頬を伝う。
「拭け。」
タオルを持ってきた隆司が私の頭にバサっと少し乱雑にかける。
その言葉には、"涙も"という意味が含まれている様で、隆司の優しさに感謝した。
身体を拭き終わって、リビングにあるソファに座る。
あの時のままだ。
総司と並んで座ったりしてた。
「紅茶でいいよな?」
六年前はぼぼ毎日の様に来ていて、お茶を淹れてくれていたのは隆司だ。
覚えているんだ、紅茶が好きな事。