先生が教えて。
第35章 影
時針が8時半を指そうとしていた。
「はい、完成っ!」
鏡の中の私は
高校時代の時みたいに
黒髪ストレートになっていた。
「ブラックが愛梨さんのミステリアスな雰囲気に合っているね、僕はこっちもいいと思うよ」
「…ありがとう」
「なるべく髪が傷まないようにカラーリングして、ストレートパーマかけたから」
ツヤ感のある髪、修二さんはとっても素敵に仕上げてくれた。
会計を済まし、スマートフォンの画面を見ると着信が入っていた。
「もしもし」
『愛梨か?今日はいつもより遅いな、何処かに寄ってるのか?』
電話の相手は、総司だった。
「うん…美容院に」
『美容院?』
「……今から電車乗って
30分くらいで着くと思う」
『迎えに行かなくて平気か?』
「平気」
『そうか、気をつけて帰れよ』
電話を切り、ため息を一つ吐いた。
総司はこの髪を見て
何と言うだろうか。
少しだけ、楽しみだった。