夏の終わりに想うこと
第4章 電話
「ただいまー」
「お!おかえりことは」
なんだ、潤しかいないのかよ。
「ママとパパは?」
「出掛けた」
「は?」
「だから、出掛けた。」
「なんでだよ!?ご飯は!?」
「作った」
「じゅ、潤が?」
「食いたくねぇなら食わなくてもいい」
「食べる!食べます!食べさせてください!」
「用意するからまってろ」
潤の作ったご飯って美味しいのかな?
そういえば
この16年間一緒に生きてて1回も潤のご飯食べたことないなぁ。
期待してみるか(笑)
「ことは、できたぞ」
「はぁい!」
パスタか。
何のパスタ?
「「いただきます」」
パスタをクルクル巻いて
一口食べてみる。
…。
「どう?」
な、な、な、なにこれ。
超絶美味しいんですけど。
もしかして私より美味しいかも…。
「ふ、普通に美味しい…かな」
普通じゃない。
超絶(笑)
「もうちょい褒めてくれてもいいだろ」
「普通だもん」
なんか自分より美味しいと思うとムカつくな。
「「ごちそうさまでした」」
~~~~~♪
潤のケータイの着信音が鳴った。
「潤、電話だよ!」
食器を片付けてる潤に言う。
「ごめん、今手はなせないからことは出て!」
「はいはーい」
誰だろ?
と思いながら潤のケータイの画面をみた。
え!?うそ!まじで!?
画面に映っていた文字は
"大野智"
ってかいてあった。
え、緊張しちゃって出れないんだけど!
好きな人と話すのって結構勇気いるよ!?
「何してんだことは?早く出てくれ。電話が切れちまうだろ」
「無理無理無理!」
「なんで、誰?」
「何が?」
「着信相手だよ」
「あぁ、大野…くん。」
「は?大野さんじゃん出ろよ」
「潤が出ればいいでしょ!」
「なんでお前に頼んだのに俺がでるんだよ」
いや、絶対、無理!
まだまだ鳴りつづける潤のケータイ。
「貸せ」
片付け終わった潤が私が持ってたケータイを取って電話にでた。
「もしもし?大野さん?」
「あぁ、ごめん。ことはが出なくてさぁ」
「どした?」
「あぁ、うん、わかった。」
「また明日な」
「おやすみ」