無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

いきつけのBar　いつも通りの席に座り、タバコをふかしながら今日もビールを待つ。

そこに1人で来る人は、大体が顔見知りだ。
私は、日ごろ誰とも連絡を取らない。
一人の時間と、その時々の会話や出会う人との時間を楽しむためだ。


一之瀬　優南の普段の顔とは別の顔で。




しかし、その日だけは違かった。

その日は少し雲行きが怪しい、じめっとした夜だった。
私はめずらしくいろんな人に連絡を取る。
メールに電話、メッセージを淡々としていく。
急遽決定した行事の幹事だ。
「お疲れ様です。今夜お時間ありますか？」
「どんなお誘いだ？」
「マスター1日遅れのBirthdayです」

そう、この日はマスター1日遅れのBirthdayを決行することになったのだ。
真っ先に連絡したのは、私より3歳年上で映像関係の仕事をしている桜坂　勇。
付き合って2年になる彼女がいる。
「今日、いつものとこ来る？」
「どうしたの？」
「マスターの誕生日」
「一緒にいこうか。」
「先にいって色々準備しておく！早く来てね」

ケーキやプレゼントを手配し、22時過ぎにBarにつく。
いつもと同じ席でタバコをふかしながらビールと共に勇を待つ。
5分もしないうちに、勇がくる。
「結局フライングで飲んでるじゃん」
「今来たところだもん、まだ１杯目」
そんな他愛のない話をしていると続々と呼び出した人が来店する。

人数もそこそこに集まると、ｻﾌﾟﾗｲｽﾞﾊﾟｰﾃｨｰが始まる。



マスターおめでとうー！
泣かせることは出来ないにしても、上出来だった。
シャンパンやらワインやら続々にあいていく。
2時を過ぎる頃、勇がチェックをする。
暗黙の了解で私もチェックと身支度を。
こうなったのは、3ヵ月前からだ。