
私のはぐるま
第5章 解放
「どうしたの?」
「あ、いるんじゃん!ちゃんと携帯電源いれとけよな。自殺でもしたんじゃねーかと思って家まで来ちゃったよ。」
「え?電源?ごめん、眠っちゃって。とりあえず上がって?」
そうして、優南が哲也を部屋にあげる。
「なぁ、腹減らねぇ?俺久々に全力で走ったおかげて腹ペコなんだけど。」
クスクス。
「それは失礼しました。買い物にいってないから、ありあわせのものしかできないけど・・・」
「なんでもいいよ、優南の飯うまいからな!急ぎで宜しく!」
「はいよー」
そう言って優南は腕まくりをした。
すると哲也が優南の腕をとり、
「おい、なんだよ。これ」
哲也が目にしたのは、白く華奢な腕に付けられた無数の痣だった。
「な、なんでもないの。ほら、わたしドジじゃない?ちょっと酔っぱらって転んじゃって。」
優南がついたとっさの嘘に哲也は無言で首を横に振る。
