私のはぐるま
第5章 解放
その日、哲也は優南の家に泊まった。
大丈夫だからと言っても、俺は心配だから、走って疲れた、など帰るつもりはなさそうだ。
さすがの優南も哲也の推しに負け、哲也の泊りを受け入れた。
「たった10分の距離なのに・・・」なんてブツブツいいながら、ご飯の支度を始めた。
「優南ぁー、俺風呂入っていい?」
「どうぞー、タオルの場所わかるでしょ?」
「へーい」
哲也がお風呂に入っている間に、肉じゃが、野菜炒め、あつたまを作り、先程の空気とはガラリと変わって“幸せな食卓”変身した。
お味噌汁を温めていると哲也が出てくる。
「うわぁーめっちゃ良い匂い!優南早く早く♪」
「はいはい(笑)もうできますからちょっと待っててね、大きな赤ちゃん?」
お味噌汁と、ご飯が運ばれる。
「てっちゃん、ビール飲む?」
「イヤ、今日は飲まない。」
「そ?じゃ、冷めないうちに食べちゃって!」
「うん、いただきます」
「召し上がれ」
「うんまいっ!優南の飯は最高だな!俺の好みを熟知してらっしゃる!」
「あはは、ありがとう!そういってくれると嬉しい!」
そんな他愛もない会話をして夕食が終わる。
洗い物は俺がやる!と意気込んで哲也が洗い物を担当してくれた。
暖かいお茶を飲みながら、てっちゃん来てくれてありがとうと心から思っていた。
すると、携帯の着信音が流れる。