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オタクのペット

第3章 甘えるな

「おまえがそういう話が好きそうだから、おまえに話を合わせてる」

「好きじゃないし!」

「俺がおまえにオナれって言うのも、おまえがオナッてばっかいるから、わざわざ俺がおまえに合わせて」

「ダーダーダーッ!!!アーッ、聞こえなーい!」

結局、私がって言いたい訳ね。

聞きたくないわ、生々しい。

「私の事なんて、あんたに何も関係ないでしょが」

「関係は大いに有るな」

「ない!」

私はプイッと、反対側を向く。

「ト~シ~コッ」

「気安く私の名前を呼ぶな」

「あっそ」

あれれ。

甘えた声で呼ばれたから、てっきり求められてるのかと思ったのに。

永田はバサッと、立ち上がる。

ヌオッっと!

目の前でフルチンさらすか!

私はびっくりして、視線を大きくそらした。

堂々と何一つ、隠さずにいる永田の背中を見た時に。

ドキッ…ドキッ…ドキッ…とした。

それから、私は恥ずかしい。

甘えたくないのに、甘えて。

自分らしくとカッコつけながらも、その代償にお金にシビアになってて。

別れた旦那とディープキス。

永田の広くて大きな背中に、どうしようもない私の姿が写った。

「…な、永田っ」

思わず、名前を呼んだ。

「あぁっ?なんだ?」

振り返る瞬間に、私は湯船から飛び出して、その背中に抱き付いた。

「ね、永田。今夜一度だけ私を抱いて欲しいの」

「えっ?」

意外に、永田は戸惑った表情をした。

「…はぁ~っ…」

深い溜め息を付いて、仕方ないという感じで返事をされた。

「分かった」

今夜の私はおかしい。

おかしくならなきゃ、元旦那とキスした自分が消えていかないから。

それが、どうしても嫌で。

早く、それを記憶から消し去りたいのだ。









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