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オタクのペット

第3章 甘えるな

初めて入る、永田の寝室。

広いベッド。

ディスクトップのパソコン。

何だか訳分かんない参考書みたいな本と、投げ捨てられたいつもの仕事着の作業服。

要るものしかない。

不必要なモノすらもない。

何ともつまらない部屋。

「あんま見るな」

と、部屋の電気を消された。

永田はベッドに横になって、私を呼んだ。

「とりあえず、こっち来い」

私はうっすらと見える、外の光をたよりに永田の元へと行く。

「愛はないぞ」

そう言いながら、指を絡めて、耳の後ろにキスをされた。

「いいよ」

そのまま押し倒されて、口唇で首筋を辿られる。

「元旦那にキスされて、悶々としちゃったのか?」

「えっ…、何でそれ」

びっくりするなぁ。

何で知ってんだよ。

「窓から見えた」

「やっぱり変態だ」

ブラをずらされて、胸を揉まれる。

「永田にお願いがあるの」

「図々しいな、何度も」

確かに図々しいよ、今夜の私は。

「キスして欲しい」

「…?」

露骨に面倒臭い顔をされた。

でも、まずは何よりもキスの感触を消したい。

「旦那のキスは飽きたのか?」

頷こうとした時に、口唇を下から上へと持ち上げられてキスされた。

チュッ…

「トシコの元旦那と俺は間接キスかよ。ざけんじゃねぇぞ」

永田はまた大きく口唇を塞いで、一気に深いキスをする。

…んむむ!…んんっ!!

コイツ、ヤバイかも。

キスが、うますぎる!

絡みつく舌の動きが、今までに体験した事のないくらい、私には優しく心地がいい。

コイツの吐き捨てる毒舌が、嘘みたい。

唾液がこぼれそうになる寸前に、漏れないように口の中で吸われて飲み込まれる。

激しく、優しくを交互に繰り返すから、苦しくもない。

ダメだ、私…。

溶かされる。

ドロンドロンに溶かされる。

ただの変態だと思って、コイツをなめていた。

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