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オタクのペット

第4章 おまえ次第

「今月中に返事くれって言われてるから、おまえも今月中に俺に返事くれよ」

ちょっと、ちょっとぉ。

声がやけに弾んでない?

「どうするよ、トシコ?」

私は苦しくて布団の中から、やっぱり出る。

「ブハッ!苦しいじゃん、わざと押さえ付けてたでしょバカ!」

「自分でもぐったんだろ?そうやって、自分が選択した事が苦しかったからって、身近な人間のせいにすんなよな」

…ううっ!…イヤミか、今の。

でも、それは正しい事が痛い。

「そもそも、おまえは人に自分に物事に甘え過ぎて、世の中の仕組みをナメてやがる。その証が離婚、さらに生活が苦しい癖に、ラクで自由のきくパート勤め、それから優しい管理人の計らいで、家賃を半分以下で生活させてもらっている」

コイツ、どんどん毒を吐くな。

お喋りな男は、嫌い。

「鬼畜野郎に説教されたくない」

「キチク?鬼畜野郎だと?この俺を」

コワッ!…怖い、やっぱりコイツの視線は蛇のようだ。

心臓が止まる。

「一つ言ってやるよ、鬼畜はおまえの前だけだ」

ぬぅなんだってーーーっ!!

白々しくタバコを吸って、私に煙を吹きかける。

ゲホゲホッ…ゲホッ…

「吉と出るか凶と出るかは、おまえの人生だから、俺には知ったこっちゃないが。今のおまえの経済力の無さ、物事への取り組み方、それから人に対しての接し方を、かき集めて総合診断すると、やっぱりこの俺と住んだ方がいいと思うんだけどねぇ~」

「あんた、結局そうやって私に託つけて、寂しいんでしょ。キッモ~ッ!」

私も負けまいと、暴言を吐いてやる。

総合診断なんぞ、どうでもいい。

否定したきゃ、否定してろ。

あんたに否定されても、私は平気だもん。

…って、平気?

この私が、ポリシーを否定されても平気でいられるって、どういう事よ。

昨晩の、元旦那の言葉を私は思い出した。

「逆らって、世の中に反発ばかりしている」

そんな私が、永田には一切逆らえない。

言う通りにしてしまう。

「何だ、俺の顔見つめて。キモイ女」

と、視線をはずされた。

ムカつくんだけど、コイツの口調に慣れてきているせいか、それともコイツだから聞き流せるのか。

気に触らない。

それどころか、何だか分からないけど、出来ることなら…。






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