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オタクのペット

第6章 約束は守れ

「こっち来い!…早く来い!」

あっち行けって、触るなとか言った癖に。

相変わらず、嫌な男。

「何?」

私は近寄る。

「おまえに言っときたい事がある!」

永田は私の腕を強く引っ張って、また私の顎を鷲掴んだ。

「何なの?」

顔を近付けて、鼻の先がぶつかる。

もしかしてキス?

「てめぇなぁ、自分の言った言葉は責任持てや」

真剣に永田は私を睨み付ける。

「はぁ?」

だから、私は半笑いして睨み付けてやる。

「約束は守れ」

……えっ。

「人が決めた約束は守れない時もある。だけどなぁ、自分が決めた約束は守れっつてんだよトシコ!」

……うぐっ!

もしかして、元旦那と会って朝帰りしたの、怒ってるの?

「わ、分かった。それは、ごめんなさい」

私は怖くなって、逃げようとした。

だって、何だかコイツ。

泥酔いしてるのに、凄いシラフな言葉言うから。

「離さねぇぞ、俺は」

逃げたい。

早く、ここから逃げたい。

今夜の永田は、いつもより更に危険度が高いもん。

「絶対離さねぇぞ!」

痛い、さっきから腕の骨が折れるくらい強く握られてる。

アザできちゃうよ、こんなの!

お爺さん、オタクの孫はかなり危険な孫だよ。

全然、知らないで誉めちぎるんだから!

嘘つきーーー!!!

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