あたしは被害者
第7章 そこで見てなさいよ
『ヴヴーー』
手の中の携帯が震える。
ゆっくりとまぶたを開き
画面に目をやった。
『やっほー!
最近どうしたの、エミちゃん!
僕の相手してくれるの
エミちゃんくらいなんだから
また僕とイケナイ遊びしよぉー!』
文字の横には
正方形のサムネが写っている。
眼鏡をかけ、
小太りの30を過ぎているであろう男が。
記名には
『アンジェラ@ひまじん』。
だれだこいつ。
自分がアプリを
開いていたことに気づいた。
あー……
昔ネットで釣った男かな。
昔、話術とエロスを磨くため
ネットという文字表示だけの世界で
男を釣っていた。
もうすっかり飽きてしまって、
アンインストールしたと思ったのに。
あー……なんとなく思い出した。
通話してたらいきなり
オナり出したやつだ、こいつ。
そのまま電話でえっちしたっけ。
すんごいキモかったけど。
『消えろブス』
とだけうって
送信した。
しね。
ブスでデブが
このあたしに近づいていいと
思ってんのかよ。
あたしの声でイけただけ
感謝しろよ。