あたしは被害者
第7章 そこで見てなさいよ
『だってぇ
仲直りしたいんですもんっ!』
半泣きの演技をしながら
うつむいていた
顔をあげた。
「んん~……」
息を吐くような声と共に
ママが大きく寝返りをうつ。
やばい……
声大きすぎたか?
安定する体制を探すママを
横目で見ながら
足音を立てずに洗面所へ。
『あれ?どうしたの?』
「なんかママが起きそう……」
『さっき……えっと
6時くらいまで電話してたんだけど、
しのちゃんが寝落ちしちゃったんだよね~…
相当眠いんだろうね』
「仕事で疲れてるみたい
だからねぇ!」
すこし声の響く洗面所の
床へ腰をおろす。
音が鳴らないように
ゆっくりと鍵をしめた。