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あたしは被害者

第8章 5人目のターゲット


いじめられてる
って自覚は
あるんだねぇ。


「えぇ!?
いじめ!?

うそ、そんなことないよ?」


「……」


正也は今にも泣きそうな
顔をして
さらにうつむいた。


知ってるわ、いじめのことくらい。

この前だって
助けてやったじゃない、
あたし。あんたのこと。


「……そっか。

あたしの知らない間に
いじめが起こってたんだね。

ごめんね、
気づかなくて……。」


「あ、え、い、いえ!
なんで竹下さんが謝るの!

僕がこんなだから
いじめられるんですよ……。

それに竹下さんが
気づかないのも
仕方ないんですよ。

僕、影薄いし……

竹下さんはいつも
クラスのみんなに
囲われてるし……。」


鞄をぎゅっと
胸元で抱くと同時に

すこしだけ歩くスピードが
落ちていた。


「べつに薄くないじゃん!

薄いって人はぁ……

あ、数学教師の市川の髪の毛じゃん?」



正也の顔を除き混むと
クスクスと
口角を上げて笑っていた。


「あ、だ、だめですよ!
そんなこといっちゃ!」


「あれれぇ?

さっきまで
笑ってた人が

急に偽善者に
なったんですけどぉー!」


「む、むぅ。

竹下さん、
いじわるですよ……」


「「っぷ……

あははははっ」」


やっと正也と目があった
その時、

笑いが込み上げてきて
二人で笑った。











あたしは後ろで









クラスのいじめっこが




あたしたちを見ているのを


横目で確認しながらね。







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