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あたしは被害者

第8章 5人目のターゲット




ホームルームが始まる
までの時間、

正也に女子の大群が
迫っていた。


「え、ここわかんない……」

「あー、
そこウチもわかんない!」

「正也くん、教えてぇ」


正也は一人一人に
きちんとわからないとこを聞き
わかりやすく教えていた。

あたしはその光景を
二つ後ろの自分の席から
頬杖をつきながら眺めていた。


あたしの周りには誰もいない。


いつもあたしの周りに
いた女子は
みんな正也の席に集まっている。



いつもウザい、うるさい、
ウザい、うるさい
と心で唱えていたのに

いざ
いなくなってみると
寂しくなる。


この広い教室で
あたしは一人。

いつも周りに人が集まってたのに

それを地味で
いじめられっこの正也に
奪われた。








かわいそうに、

笑み。





かわいそう……!






あたしはあの頃のように

惨めな自分を
自分自身で哀れんだ。




誰もいないから

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