あたしは被害者
第8章 5人目のターゲット
「あ、笑みっ…………」
同じクラスのこと美が
挙げた手を降ろす。
「あれ、どーしたの?」
「達也は?」
「なんで……こいつといるの?」
みんな鼻で笑いながら
正也をチラチラ睨む。
正也はまた
顔をひきつらせて
うつむいた。
「おはよ、みんな~
達也はサッカー部の
助っ人だってさぁ。
今日1日達也と会えないっぽい」
あたしは正也の腕を
つかみ
女子の大群を割って教室に入る。
「あー、達也うまいもんね!」
「さすがだよね」
「サッカー部入ってたらエースだよ!」
後ろから聞こえる
女子の声を大胆に無視して
席まで正也をつれてきた。
「昨日の数学の課題!
わかんなかったんだよね。
教えてくれない?」
「え……で、でも……」
あたしの二つ前の席が
正也の席だった。
そこと近づいてくる女子を
チラチラ交互に見て
また、うつむいた。
「だめ?」
「だめ、じゃ……ないけど……」
「正也はいじめられっこじゃ
ないよ?
みんなと仲良くなろ?」