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あたしは被害者

第8章 5人目のターゲット




じっと見つめる先には
4桁の数字。


……ま、まだか

あと、さ、30秒くらい?


なんて思ってたら
コロッと下一桁の数字が変わって

喜ぶ間もなくチャイムの音が響く。


「っしゃ……」


回りが長々と続いた授業の
疲れを伸びやらあくびやらで
ほぐしているころ、

あたしはチラッと正也の
後ろ姿を見る。


弱々しい
なよなよした感じ。

猫背でシャキッとしてなくて
堂々とできない性格が丸出し。

ほんと、
こんなんだからいじめられるのに……。


あたし、いじめられるくらいなら
背骨折れてでも
背筋を正すよ?



なのになんであんたはしないの



その背格好
その性格
その癖さえ直せば



あんたは
あたしさえ越えゆる
クラスの人気者に……なる…のに……




鳴り終わったチャイムの余韻が
耳に残る。

起立の声にハッとして
またいつものあたしに戻った。



待ちに待った昼休みだ。

時間の確認に使っていた携帯を
ポケットの中で握りしめた。


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