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さきゅばす

第2章 ちょっとした変化

ぼーっと後ろからクラスメイトの姿を眺めていると、演習問題の板書をあてられてしまった


また? 最近多くない?

私はつかつかとノートを持って教壇にむかう


黒板に書こうとしたとき、ふとユイの「セクシー」という言葉が脳裏を横切る

少し動揺してしまって床にチョークを落としてしまった

コロコロと割れた半分が転がって、男子の靴にあたって止まる

拾おうと髪をかき上げて身を屈めると、突然ガタッという音と一緒に、ハルが視界に現われてチョークを代わりに拾う

ハルの目は真ん丸で、何かを言おうとしたまま口が少し開いている

私は両手でチョークを受け取ると

「……ありがとう」

とだけ言った

「あ、ああ……」

声を漏らしてハルは目をキョロキョロさせると席に戻る

上体を起こすと私はビックリした

クラス全員が私のことを見ているからだ

私は身の危険を感じて、さっさと回答を書くと、すぐに後ろの席に戻った

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