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──恥ずかしさは後々二人を襲った。
戒斗に関しては、背を向けて黙り込んでいる。
そんな戒斗に彼女は言った。

『ごめんなさい。約束、守れなくて‥』

「まぁ今回は事情が事情だからな、許してやる。だがもうそんなことが起きないようにしないとな…」

頷く彼女。
その彼女に対して戒斗は突然何かを思い出したかのように言った。

「そう言えば。お前ずっと俺をフルネームで呼んでいたな？それはもうやめろ。他人行儀にも程がある」

『じゃあ‥‥戒斗…って、呼んでもいいですか？』

「‥‥好きにしろ」

そうやって素っ気なくあしらう戒斗だったが、意外にも満更でもなさそうな顔をしている戒斗がそこにはあった。

「これからはお前のことは俺様が守ってやる。だから…」

『だから…？』

「…ケーキと紅茶、忘れるな」

『はいっ。喜んで！』

不意に、戒斗の手が彼女の手に触れる。
恐らく彼女を感じていたかったのだろう、指輪をした右手を差し出したのだ。
彼女は何の躊躇いもなく右手を差し出し、戒斗の手に重ねる。
──その日を境に、彼女の“男性恐怖症”は戒斗だけには起こらなくなった。
その理由も彼女は少し分かった気がして、それ以上気持ちを問い詰めることはなかった。
理由は何故か…その話は、また別の機械に──。

愛が強さに？蜂蜜と指輪の思い出　END