声を届けたい
第49章 守
【…で…いろいろ…考えて……
脳死の可能性もあるから…
それに賭けてみた…
俺の…生きる…可能性…
瞳と…同じ時間を…生きる可能性…
臓器提供……
脳死だったら…
俺が死んでも…誰かの中で俺は生きるんだ…
それも…何人もの中で…
逆に…キモイか?
まっ…それ以外の死因だと…無理だけどな…
でも…声帯だけは…無理だから…
この声を…瞳に…
届くようにしたいんだ……
体は…他の人にあげてもいいけど……
声は…瞳に…持っててほしい…】
涙が…溢れて…
体から…力が抜けた…
届いた…
守の声……
聞きたかった…優しい声…
【……瞳は…これから…高校に通い…
ちゃんと勉強をして、友達と楽しく生活をして…
他の誰かと…恋愛をして…
俺を…嫉妬させてくれ…
先に天国でまってるよ…
思い出話を期待してるよ】
『…うっ……守…』
【…じゃぁ…先に…天国でまってるよ。
90歳過ぎたら遊びにおいで?
瞳…ありがとう…】
プツン…プープー