声を届けたい
第36章 朝
何も…別れを言えないまま…
二人の時間は過ぎた…
涙も…出尽くした…
ただ時間だけが…
過ぎていく…
朝が来ると…
守の手術がはじまってしまう…
外が…だんだんと…明るくなる…
廊下には…
お姉ちゃん、非番の研修医クン…私…
病室には…家族が集められ…
手術の段取り…
摘出する臓器の説明…
臓器の輸送手段…
輸送先の説明…
ドナー関係の説明……
が…されている…
個人情報の事や医療的な説明で…
他人の私は…入れない…
他人…
説明が…終わり…
病室を出ていく医師に…
頭を下げる…
おばさんやおじさん…
「…10:00から…
手術準備…だ…って……」
友チャンは…疲れているようだった…
廊下の私の隣に座り…
深く…ため息をついた…