声を届けたい
第3章 声
プルルル、プルルル…
土曜日の午後…
出掛けてても可笑しくない時間帯…
出なきゃ…出ないで…
助かる…
呼び出し音が聞こえる度に…
電話をしたことを後悔する…
プルルル…プっ
[…もし、もし…]
あっ!!!出た…
『あ…もし…もし……』
[………瞳…チャン…?…]
ドキ!
この声…
『…うん…守クン?』
互いを確認…
しかし、何を話せばいいのか…
[…やっぱり…遠藤…瞳…チャン!!!
手紙!!!届いた?よかった〜]
受話器の向こうから
元気な声が響く…
『…久しぶり…
いきなり手紙来たからビックリしたよ』
守クンはケラケラ笑い
[…だよな…今時手紙って思ったけど…古風でいいだろ?
…それに…電話来ないかと思ってたから…]
『古風って…郵便局員さんに謝りなさいよ…』
いっきに…昔に戻った気がした…
懐かしい…
声は少し低くなってる…
[…瞳チャンは…声…変わらないね…]
『…そう?守クンは…低くなってるよ…面影はあるけど…』
[完全に低くなってないだろ?まだ、成長期なんだよ、俺!!!]
『身長はさすがに伸びたよね…?』
中学一年の時は私の方が高かった…
[伸びたぜ!!!今は178センチあるぞ!!!まだまだ、成長する予定だ]
『伸びたね!私を越したよ、おめでとう…』
[…しかし、うれしい。
電話…さんきゅな…]
ドキン…
少し低い守クンの声に…
胸がキュンとなった……
『っあ…っと、
アドレス聞いていい?メールにするよこれから。』
[…悪い…アドレスないんだ…
メール苦手だし…]
『そっか…ないのか…』
[今度は俺から電話するよ!!!この番号は瞳チャンの携帯でいいんだよね?]
『う…うん…』
[あ…悪い…
迷惑だったかな?彼氏に誤解されるなら…しないし…]
『かっ!彼氏!!!いないし!そっちこそ、彼女さんとかいない訳?』
[彼女か〜ほしいけど…
いないな〜]
『…じゃあ…お互い独り身同士、これからよろしく』
[…よろしく…]