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声を届けたい

第38章 嘘

「…お兄ちゃんが…誰かと電話してるのは…知ってた…
携帯の電話帳にはない番号からで…

目が見えなくなってから出会った人って事は…解ってた…
だって…目見えないと…自分で登録できないしね…
しかし、ひとチャンとは…思わなくて…ビックリしたよ…

たまたま、携帯に私が出た時あったじゃない?

嘘ついてゴメンね…
お兄ちゃんが…病気の事…ひとチャンに言ってないなら…私が言うべきじゃないと思って…黙ってた…もっと早く…伝えてれば…
手術の前に会えたかもしれないのに……」


顔を手で覆い…友チャンは…泣いた…



『…私だって…
もっと早く…手紙に返事出来たら…

あの時、あの時って後悔ばっかり…
今だって……何が正解なのか…解らない…』


守が…出した…臓器移植の選択も…正しいのか…
私には解らない…



守も…嘘をついていた訳ではない…


言わなくても…

私たちの関係は…

なんの支障もなかった…


ただ…それだけ……




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