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それで、また会ってる。

第1章 冷たい手



「ああぁっ!」

橙のスモールライトが灯る。ベッドで横になってすぐ、俊紀は夕都と身体を繋げた。
「う……はぁ、は、苦し……っ」
繋がっている。確かに奥に入ってくる感覚を夕都は感じていた。ベッドシーツに顔を沈め、肩を激しく上下に揺らす。
「夕都、こっち向けよ。息しづらいだろ」
彼を仰向けにするも、反応は薄い。しかし確実に傍にいると、その温もりさえ感じられれば今は幸せだった。
この痛みもやっと感じることができたのだから。
「俊紀さん……っ」
「ん?」
身体が繋がってるだけじゃなくて、心が繋がってる。
ずっと一人だったからなのか、それだけで満たされるものがあった。
「もっときてよ。こんなの初めてなんだ。苦しいけど、……すごい嬉しい」
「お前……」
彼の顔はよく見えなかったけど、声だけで泣いていると分かった。
でもそれは、悲しい声音じゃない。

「俺も、何か今すごく嬉しいよ。……夕都」

こんなにも誰かに求められたのは初めてかもしれない。
だからいつの間にか、自分も彼を求める様になってしまったんだ。
いけないと分かっていながら、目の前の欲望に抗えない。
「あぁ、あっあ、あっ!」
真っ暗な部屋で、ベッドが軋む音と喘ぎ声が響く。
流れる体液が二人を汚し、滑りを良くしていく。
時間を忘れるほどに抱き合った後、二人は死んだように眠っていた。夕都だけは、また痛みで目が覚めたが。

……身体中が痛い。
夕都は俊紀の腕の中に抱かれていたが、少しだけ身を捩った。
わかっちゃいたけど想像以上に苦しかった。男同士のセックスは。
でも満足だ。肌を重ねたことじゃない。……やっと気持ちが相手に伝わったことが嬉しいんだ。
俺は、そう。不器用だし、口下手だし、ましてや好きな相手が年上の男ってなったら、どうやって告白すればいいか分からなかったぐらいだ。
だけど、今も繋がってる。
“これ以上”はない、暖かい気持ちで包まれてる。

「俊紀さん。……好き」

小さく呟いて、夕都は彼に抱かれながら深い眠りに落ちていった。







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