それで、また会ってる。
第1章 冷たい手
「お前、本当に男とシたことないんだよな?」
夕都を快楽に落とすための愛撫を続けながら、そんなことを尋ねた。
「なんだよぅ。本当だって」
少し不貞腐れて言う夕都に、思わず笑ってしまう。
「怒んなよ。もしそうなら、優しくしないとって思っただけ」
夕都の腰を押さえて脚を全開にすると、後ろの穴をたっぷりぬれた舌で舐めた。
「っ!?」
さすがに恥ずかしくなったのか、夕都は足を閉じようとする。それでも構わずに彼のそこを舐め続けた。
「ここはまだ誰にも触らせてないんだよな。それならやっぱり俺がお前の初めてだろ」
「そうなるけど……俊紀さんは経験あんの?」
「さぁ、どうだろ」
「うわぁ。これだから大人って……」
夕都は何か言ってるけど笑って誤魔化した。今度は、油断してる彼のそこに舌を差し込む。夕都はビクンと身体を震わし、俺の肩を強く掴む。
「ぁ……」
何だ……これ……っ。
後ろから前へと快感が伝わってく。
普通に気持ち悪いのに、気持ちいい。
夕都はもう身体の全てを俊紀に委ね、快感を待つことにした。
「いっ!」
痛い……!
それでも、指を挿入された時は尖った痛みを感じた。
抱かれる以上、セックスの時の痛みは避けようがないけど。
────裂けそうな痛みだ。
今指を挿入されてるここは、本来なにかを受け入れる場所じゃないのだから。
「はっ……ぁ、はぁ……」
指の動きに連動して夕都は息をもらす。
決して快感などではなくて、痛みのせいで息が荒くなってるだけだ。
だが夕都自身気付いたことがあった。
痛みは変わらず心と身体を蝕んでいるが、慣れてきてる。
最初と比べて確実に激しさを増してるが、何とか耐えられる様になってしまった。
「……やっと緩んできた。もう少しだな」
自分にとって大して関わりのない部分を弄られるのは、ある意味衝撃的だった。
「ま……最初は絶対怖いから。変に深く考えんな」
俊紀は優しく言い、夕都の耳朶を甘噛みする。そして指をゆっくりと指を引き抜いた。
「おし、ここまでな」
俊紀は夕都の中に入れていた指を軽く吸い、後で彼を抱き起こした。
「じゃあベッドに行くか」
「えっ?」
「初めてで、こんな場所は無理だろ。それに記念すべき最初が風呂場ってのも何だし」