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人魚

第13章 赤い人魚

ゆらゆらと揺れたかげから

蒼の首が一気に空に舞い上がり…


夏生の体にもたれる生温かい蒼の首から下


「キャァァ!蒼!蒼の蒼の首が!」

夏生は、蒼の身体を抱きしめ
ガタガタと震えながら岩のおくえ行こうとした


「蒼、あたしの王子様、誤算だったわね
あたしがこんな真似をする女にはみえな
かったでしょ?蒼…夏生なんかにいこうと
するからよアハハ…ねぇ…夏生」


蒼の首を愛おしくだきながら
砂浜へでる歌音



満月が美しく歌音を照らし
その光りを浴び
蒼の首を両手で持ち上げて
キスをし



「夏生…人魚わね。馬鹿な王子様と
共に泡になって消えてしまうのよ」



夏生は、岩影から
真っ赤に染まる
人魚が海へと向かう姿を見ているようだった



静かな海は
歌音を飲み込み


静かな海へと
もどった…



終り

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