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 巡 愛 

第3章 もう一度……


「今度の春の人事異動で本社に戻るけど、そこに僕が戻っても君は構わないかな?」

「何言ってるの、当たり前じゃない。ちゃんと掃除しておくわね」

 電話ごし、妻の声は軽やかで、そんな小さな彼女の変化にようやく夫として気付いてやれたことが嬉しかった。


 1年前のその日はちょうど妻の誕生日。

 夫として、プレゼントのつもりの電話だった。



 そしてその日は、あの約束の日。

 私は「カンナさん」への最後のメッセージを送り、彼女から返事を受け取った直後、サイト登録を解除した。








〔第3章 もう一度…… 了〕

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