巡 愛
第3章 もう一度……
私はその日以来、ブログを更新するのをやめた。
「カンナさん」が妻だとわかった以上、「未明」という男に妻の心を奪われたくはなかったのだ。
私は赴任先に戻ってからすぐ本社への異動願いを出し、勤務体系もオンとオフとのけじめをつける家庭と両立した形へと変更した。
「仕事だけできても充実なんてしないだろ?」
そんなことを言っては部下を驚かせ、
「私の妻は相変わらず綺麗でね……」
こんなことを言っては同僚の苦笑いも誘った。
妻のために仕事をし、今までの仕事ばかりだった自分を変えるんだと思ったら、あからさまなそんな言動も、不思議なくらい恥ずかしくなくできてしまった。