赤い恋 ~sho sakurai~
第44章 再開
結「っんしょ」
ファミレスの入口。
小さな段差でキャリーバッグが引っかかる。
ー『キィ』
扉を開けて中に入った瞬間、
冷たい空気が私の体を包んだ。
「いらっしゃいませ」
本日2度目の歓迎の言葉。
結「あ、友達と待ち合わせしてるので」
案内してくれようとした店員さんを制止させて私は店内をキョロキョロする。
結「ーいた、」
一番奥の端の席、ケータイを触っている佐織を見つけた。
結「来たよー」
側まで歩み寄って私は佐織の向かいに座った。
佐「久しぶりー、はい」
手帳から取り出した結婚式の写真を私に手渡しながら佐織は微笑んだ。
結「ありがとう」
写真を受け取って少し眺める。
幸せそうに笑う佐織の両隣には私と、佐織の旦那さん。
私も幸せを願った。
でもやっぱり住む世界が違う人とは幸せになれない。
佐「んで?その大きなカバンは?」
佐織は呆れ笑いをしながら頬杖をつく。
結「…、え、…あぁ…」
「ちょっとね」と曖昧すぎる返事を返して情けない笑顔を浮かべた。
佐「…ふぅーん…まぁ結衣さぁー」
佐織は頬杖をつくのをやめて、
「怒るなよ?」と言った。
結「…え?何が?」
言葉の意味が全くわからない。
佐「…あんたをハメたこと」
ピシッと指を指された私はただ固まる。
…ハメた?
何に?
結「さお…」
「結衣」
佐織の名前を呼ぼうとしたときだった。
もう諦めたはずなのに、
私が間違えるはずのない
大好きな人の声。
結「……………………翔ちゃん?」