赤い恋 ~sho sakurai~
第44章 再開
結「……、え」
はっとして自分の頬に手をやると、
指先には冷たく当たる涙の感触。
翔「…強がりだよね。バレバレ」
翔ちゃんはため息をついて背もたれに体重を預けた。
あ…、翔ちゃん、もう呆れてる…。
私がこんなだから…。
するとにのが困ったように笑って指を組んでテーブルに肘をついた。
和「翔ちゃんはこんな言い方してますけど、不器用なだけなんです。ほんとはもっと違う言い方したかったはずですよ?」
結「…え?」
和「…ほんとは何でもいいから取りあえず結衣に帰って来てほしいんですよ」
にのは隣を見て、『ね?翔ちゃん』と言って翔ちゃんの肩をポンポンと叩いた。
翔「……っ///」
少し顔を赤らめて翔ちゃんはツンと尖った唇をさらに突き出した。
佐「……いんじゃなぁい?」
佐織の気の抜けた声が聞こえて私はそっちを見る。
佐「もうあんたらめんどくさいな!結衣!細かいことはほっといてあんたは『みんなの家』、帰んなさい!いつまでもそんな生活出来ないでしょう!あんたはねぇ、考えが重たい!あんたが大きく考えることは他からしてみりゃミジンコほどだっつの!」
佐織の言葉ににのは大きく笑った。
和「ほんとだよ(笑)」
結「……そんなの…、」
佐「うるさいうるさいうるさいうるさーーーい!!」
佐織は頭を振って私の言葉を遮る。
佐「はい!もう帰る!おっけ!」
パンっと手を叩いて佐織は立ち上がった。
佐「ほら!立つ立つ!」
手のひらを上に向けて上下させる。
私はつい立ち上がってしまう。
和「んじゃあ、帰りますかぁ」
大きく伸びをしたにのは私のキャリーバックを掴んだ。
結「あっ!」
和「や、いいから」
それを制止しようとした私ににのは優しく断りを入れた。
翔「…ほんじゃ帰りますかっ」
翔ちゃんももう一つのカバンを掴んで立ち上がる。
結「…なんで?」
翔「え?」
どうしてこの人たちはこんなに優しいの?
こんなわがままな私に…。