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ふしだらと言わないで

第6章 慰み者の娘 3

 あれから何日か過ぎ
 私はとうとうその日を迎えた
 九条院というお金持ちのご子息との会談の日である

 おじ様の命令で
 そして政治の道具として
 九条院のご子息の愛人になる
 政治的かけ橋となる

 使用人の一人である私に
 何かを言える権利は当然ない



「…」
「…」



 おじ様がくれたいつもの着物
 私はあれが大好きだったが

 今日はもっと高価な仕立ての
 最高級な和装をしている



 好きになれない…
 商品という感じしかしなくて…



 突然、おじ様が歩みを止める
 つられて立ち止まる

 先方は既に入室して待っている
 早く行かないといけない



「双葉よ」



 振り返った険しい表情
 多分怒っている

 おじ様の様子に私は怯える
 壁にドンッと追い詰められる



「そのような顔で
お前は見合いの席につく気か」



 見上げていると
 いきなり唇が重なった

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