ふしだらと言わないで
第6章 慰み者の娘 3
―…
当時双葉の一つ上、16だった美姫は今年で22になる
「この辺りなんだけど…」
二つ離れた県にきていた
並木道を歩く
街路樹が切れた所で右に曲がり地図を頼りに目的地を辿る
舗装が新しいアスファルトを踏みしめてようやく到着したのは小さな建物の児童養護施設だった
そこにいたのは
爛漫な彼女の面影がある
5歳になる女の子だった
「お名前聞いていいかな?」
「七海だよ!」
「…お母さんの名前言える?」
「ふたば!」
美姫は涙をこらえた
こらえてこらえて…こらえた
養護施設にいる子供
それはつまり…
「泣いてるの?」
「七海ちゃん…お母さんは…」
「えっとね、かろう!
遠くに行っちゃったんだって!
七海はね、待ってるの!」
「お母さんのこと好き…?」
「世界で一番好き!」
死が…痛い
悼む感情が胸を締めつける
たったひとりで
我が子を残して
どんな気持ちだっただろう
当時双葉の一つ上、16だった美姫は今年で22になる
「この辺りなんだけど…」
二つ離れた県にきていた
並木道を歩く
街路樹が切れた所で右に曲がり地図を頼りに目的地を辿る
舗装が新しいアスファルトを踏みしめてようやく到着したのは小さな建物の児童養護施設だった
そこにいたのは
爛漫な彼女の面影がある
5歳になる女の子だった
「お名前聞いていいかな?」
「七海だよ!」
「…お母さんの名前言える?」
「ふたば!」
美姫は涙をこらえた
こらえてこらえて…こらえた
養護施設にいる子供
それはつまり…
「泣いてるの?」
「七海ちゃん…お母さんは…」
「えっとね、かろう!
遠くに行っちゃったんだって!
七海はね、待ってるの!」
「お母さんのこと好き…?」
「世界で一番好き!」
死が…痛い
悼む感情が胸を締めつける
たったひとりで
我が子を残して
どんな気持ちだっただろう