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ふしだらと言わないで

第5章 慰み者の娘 2

 使用人の朝は早い
 夜明けと同時に一斉に起床
 甘えを一切許さない厳しい規律のもと厳格な朝が始まる

 昨晩誰かの供をした者は免除されるが新入りの私みたいなお子様にそのような指名はなかった

 私は私の価値の一番の見せ場でみっともなく泣いてしまったのだ



 朝から床掃除に精を出す
 広いお屋敷、厳しいノルマ
 こんな仕事でも懐かしかった
 家にいた頃を思い出す…



 パパが死に
 ママと
 それから再婚した父が死に
 私は一人ぼっちだ

 ママが綺麗にしなさいと言った
 だから家の中を
 必死に綺麗にした



 認められたかっただけだが…
 ママは何も言わなかった

 誉められるのを待つ
 照れてもじもじする私を
 ママは無視した

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