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FREE BIRD

第32章 罪人になる

靴を脱ぎ、部屋の中へ入ると美穂さんは立ち止まりストールをスルリと外し、スプリングコートを脱いだ。


僕は受け取りハンガーに掛け、自分の上着とネクタイも掛けた。


美穂さんはずっと動かない。


小さな背中が愛しくて、僕は思わず後ろから抱き締めた。


美穂さんは小さく震えている。


この震えから解放してやりたい。


抱き締める腕に自然と力が入った。


「美穂さん…」


僕が名前を呼ぶと美穂さんの鼓動がクロスした腕にドクンと伝わった。

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