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FREE BIRD

第32章 罪人になる

すると胸に置いた私の手の上に誠さんの手が重なった。


ギュッと握って目を閉じたまま笑みを浮かべた。


「誠さん…」


誠さんは目を開け、私を見て優しく微笑んだ。


私が微笑み返すと、重ねていた手を私の背中に回し引き寄せた。


トクトクと誠さんの鼓動が聞こえた。


言葉はなかった。


でも分かってる…


私達はこの一線を越える程惹かれ合っていた。


だから後悔も懺悔もしない。


愛なんて先なんて何も関係ない。


今この時間誠さんの腕の中で夢をみれる幸せだけを噛みしめていたかった。

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