テキストサイズ

FREE BIRD

第54章 刺さった棘

店では知世がパリで大量に買い付けた小さなアンティークな小物が届き、品出しに追われていた。


つかの間、誠さんを忘れる。


ピロリンと誠さんからのメールが鳴ったのは午後3時を回っていた。


『美穂さん、こんにちは。
昨日はごめん、息子は30針も腕を縫う大怪我でしたが、何とか無事で後遺症も出ないと医者が言ってたので、一安心です。
数日入院はするみたいだけど、今朝様子を見たら、元気そうだった。やっぱり子供の回復力は凄いよ。

でも、実は… ちょっと驚いた事があって、凹んでる。 まあ、したかないんだけどね。



僕は仕事で、明日からフランスだ。

一週間後の帰宅だ。

帰国したら、ゆっくり会おう。

昨日のお詫びに美味しいモノでもご馳走させてよ。


では、また 』


良かった。


息子さん無事だったんだ。


私は胸を撫で下ろした。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ